実はドイツで料理するのが難しい日本食
仕事の関係や留学などでドイツに留学する方も多いかと思いますが、そのように海外で生活をする際に気になることの一つとして、食生活があげられるのではないでしょうか。
家族にふるまう食事は日本にいた時と同じような日本食を用意してあげたい、長い海外生活をおくる上でやはり日本食が恋しくなってきた、外国の友だちなどに日本食をふるまう機会があるなど、海外で暮らすとはいえ日本食を用意する機会はたくさんあるかと思います。
最近ドイツを含むヨーロッパでもかなり日本食のレストランや日本食材を見かける機会も増えては来ました。
それでもまだドイツ国内で買うことのできる日本食材は限られており、ものによっては日本で手に入る値段の倍近くの値段で売っているケースもあります。
中には日本ではどこのスーパーでも売っているようなものが、ドイツではどこに行っても見当たらないことも少なくありません。
ドイツで料理するのが難しい日本食や日本の食材
上で述べた通り、日本食材を手に入れようとしても、日本で買う以上に値段が高い、どこか日本で買うものに比べて品質が違う、そもそもどこを探してもなかなか見当たらないなど、いろいろな理由で作ることが難しい日本食があります。
以下では、ドイツでは料理することが難しい日本食を紹介していきたいと思います。
1.牛丼
牛肉を作るのに欠かせないのが薄切りの牛肉ですが、そもそもドイツなどのヨーロッパでは薄切り肉はほとんどスーパーなどで売られていません。
薄切り肉が欲しい場合は、ミートスライサーなどを用意して市販されている肉をスライスするか、精肉店などで店員さんにお願いして薄切りにしてもらうなどの方法があります。
しかし精肉店でスライスしてもらう場合、定員さんも普段肉を薄切りにしてほしいといったような注文を受けていないので、なかなか定員さんに伝わらず、自分が思ったような薄切り肉にならない場合が多いみたいです。
それ以外でも、普段私たちが食べている日本料理は薄切り肉を使うことがとても多いので、それらの料理も日本にいるときと比べたら作りにくいかと思います。
2.魚介料理
ドイツは北部の一部以外はほとんど海に面しておらず、日本に比べて新鮮な魚が手に入りにくい国です。
そのため日本のようにスーパーなどで手軽に生魚が買えるわけではありません。
スーパーなどで魚は売っていますが、冷凍されたものがほとんどで、生魚に比べたら当然のことながら新鮮味や味などは劣ってしまいます。
もちろん生魚も売っているところには売っていますが、やはり日本に比べたら値段が高いため、手を出しづらいのが現状です。
このように、魚介を使った料理は作ることはできますが、手に入りづらい、味や鮮度が良くない、値段が高いなどの理由で、日本にいるときのようには気軽に作るのは難しいかもしれません。
3.海藻類
普段わかめなどをお味噌汁に入れていただくことはよくあると思いますが、わかめを含めた海藻類もやはり日本ほどは一般的ではありません。
わかめなどは最近スーパーなどで安く手に入ることができるようになったみたいですが、それでも味などは普段食べ慣れている日本のわかめの味とは少し違います。
それ以外の昆布やひじきなどもアジア系のスーパーなどに行けば売ってはいますが、やはり日本で買うよりも高価です。
イクラ
イクラはお寿司のネタとして使われているので、日本独特の食べ物かと思われている人も多いかもしれません。
しかし、もともとイクラという言葉はロシア語で「魚卵」を意味する言葉で、明治時代にロシアから伝わって大正から昭和の初期にかけて一般的になったとする説があります。
そういった理由から、ドイツのロシアンマーケットでイクラが手に入るので、決して絶対に手に入らないというわけではありません。
しかし普通のスーパーなどでもイクラは売っているのですが、そちらは値段が高いうえに、味も日本のものとかなり違います。
近所にロシアンマーケットがあればよいのですが、そうでないと日本のようなイクラ料理を味わうことはかなり難しいかもしれません。
ちなみに筆者は昔小瓶に入ったイクラを買って、自分でイクラの醤油漬けを作ったことがあります。
基本の食材は醤油、みりん、酒などドイツであれば入手難易度も種類も少ないので作ってみました。
しかしレシピ通り作ってみたものの、日本のイクラ醤油漬けとは味が全然違っており、その時に初めてイクラの味自体が違うのだと気づいた、苦い思い出があります。
マヨネーズ
マヨネーズは料理ではないものの、色んな日本食を料理するのに使える万能な調味料です。
もちろんマヨネーズはドイツでは普通に買うことができるので、手に入れること自体は特に難しくありません。
そもそもマヨネーズはフランス発祥のものなので、当然のことながらヨーロッパでは一般的ですし、世界的にも一般的な調味料です。
しかし、日本のマヨネーズとドイツのマヨネーズは味がかなり違います。
ドイツのマヨネーズは日本のものに比べてかなり甘く、ドイツ人が日本のマヨネーズを食べるとかなり酸っぱく感じることもあるそうです。
日本のマヨネーズは海外のものと違って、マヨネーズを作る際に全卵ではなく卵黄のみを使っており、使っている酢も米酢を使用しているようです。
そのため海外のものと比べてまろやかでクリーミーな味になるのだとか。
こうした日本のマヨネーズの味を前提として料理を作ろうとする際には注意が必要かもしれません。
マヨネーズを使う日本食を作る際は日本のマヨネーズを購入するのをお勧めします。
ゴボウ
日本では、ごぼうは豚汁やきんぴらゴボウなどでよく使う一般的な日本食で使う根菜類の食材です。
しかし日本以外の国ではゴボウを使った料理はほとんどなく、日本独自に発展していった食材といっていいかもしれません。
太平洋戦争中、日本軍が敵国の捕虜にゴボウ料理を与えたところ「木の根っこを食べさせられた」として、戦後日本の将兵が虐待で訴えられたという話は有名かもしれません。
それほどゴボウを食べるということは、海外の人、特に欧米の人にとっては奇異なこととして映ったのかもしれません。
このように日本独特の食材であるので、ドイツ国内でゴボウを見ることはまずないかと思います。
一応ドイツにも西洋ゴボウというものは存在するのですが、味や調理法は日本のゴボウとまるで違うそうで、アスパラガスのような味がするそうです。
まとめ
これまで見てきた通り、日本とドイツの食材の事情はずいぶん違うので、日本では簡単に作れてもドイツではなかなか作れない、作れたとしても手間やお金がかかってしまう料理がいくつかあることがお分かりいただけたと思います。
特にドイツは海に面している場所がほとんどないので、海の幸に関してはかなり乏しいものがあります。
ドイツにいる間は日本の新鮮な魚介がかなり恋しくなるかもしれません。